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大阪国際大学小倉先生のマラソンコラム

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本年オリンピックイヤー、自分史にも朽ちない記録を目指そう!
今年は、フルマラソンの制限を8時間に延長し、皆さんのチェレンジを応援していきます、エントリーされたランナーのそれぞれの目標達成にむけて、全力で応援していきます。

大阪国際大学 人間科学部スポーツ行動学科教授

小倉幸雄(おぐら ゆきお)教授

大阪国際大学陸上部監督 コーチング、コンディショニングが専門。
現在 公益社団法人 日本学生陸上競技連合 理事(強化委員)。
関西学生陸上競技連盟 ヘッドコーチ。

夏季の運動実施におけるコンディショニング – 脱水と水分補給 –
大阪国際大学 小倉幸雄

 秋のフルマラソン出場に向けて,モチベーションも上がり走距離を徐々に増やしながら練習をしているのではないでしょうか。夏季の運動場面では熱中症に気をつけることがとても大切であり,特に,梅雨明けから急に気温が上昇するこの時期は,身体が暑さに慣れていないことから最も危険です。そこで熱中症にならずにフルマラソンに向けた練習を進められるように,水分補給と体重管理を主とした暑熱環境下のコンディショニングが大切になります。
ヒトの体温(深部体温:食道・直腸)は安静時では37.0℃程度に一定に保たれていますが,運動を実施すると筋肉に熱が産生し,深部体温は上昇し,暑熱環境下では40℃近くにまで上昇します。深部体温を抑制するために,発汗による気化熱と皮膚表面に血流を増やして熱を逃すことによって,運動を継続できるような身体機能が備わっています。しかし,高温多湿などの環境による影響から,汗をかいても蒸発しない時や,外気温が皮膚温よりも高い場合には,逆に身体に熱が入り込んでしまいます。そして深部体温が過度に上昇しすると運動パフォーマンスが低下するばかりでなく,熱中症の危険に繋がってしまいます。
身体のおよそ60%は体液であることから,大量の発汗による脱水状態では発汗効率が低下し深部体温が上昇しやすくなってしまいます。つまり,脱水状態にならないように,運動を実施することの方策が水分補給になります。どのくらいの量を飲むか,それは脱水率(体重減少率)
「(運動前の体重-運動後の体重)÷運動前の体重」を求め,2%以下にすることがパフォーマンスの低下を防ぎます。例えば体重60kgの人であれば,1.2kgの体重が減らないように水分補給をこまめに取ることです。もし運動後に2%を超えていたら水分補給のリカバリーをすることも必要です。また,発汗によりミネラルも減少しますので,水やお茶ナトリウムを含んだ飲み物が適しています。
さらに,物理的な冷却効果も体温上昇を抑えることができるので,15℃以下のできるだけ冷たいものがいいでしょう。練習後やレース後は,身体冷却とともにアイススラリー(シャーベット状)のドリンクも効果的です。最後に、脱水率2%以下への意識や取り組みは,普段の練習前後だけでなく,実際のレース前のウォーミングアップでも同様に考えましょう。つまり競技会に簡易体重計を持って行き,ウォーミングアップ前後の体重を測定し,レース前に脱水率2%以下になる水分補給をしてコンディションを整えることです。フルマラソンではこの点に注意しながら,脱水にならないようにレース中の給水ポイントで,早めから計画的に摂取していくことが完走の秘訣になるかもしれません。